学生が実際の法律事務所、官公庁、企業等で、法律家の仕事について実務研修をする法科大学院ならではの制度です。法律家の日常を経験することにより、実践の場でしか見ることのできない法律家の現実、法律家に対する社会の期待などにも直面することとなります。法のプロフェッショナルとして生きる上で知っておくべきこと、考えておくべき多くの課題に、早期に出会えるチャンスでもあります。エクスターンシップを経験した後に、法や法曹に対する考え方が変わったという声もよく聞きます。上智大学法科大学院では、多くの法律事務所や官公庁、企業等の御協力を得て、夏期休暇中あるいは春期休暇中に希望者を派遣しています。
2021年度は全体で30を超える法律事務所・官公庁・企業等にご協力いただきました。
栗橋 竜司
中央大学法学部出身
短縮コース 2021年入学(2021年度参加)
私は夏休みの間、第一生命保険株式会社の法務部で、エクスターンシップの研修をさせていただきました。研修では、法務部が過去に扱った業務を行い、また法務部で行われている判例研究会に実際に参加し、企業における法曹の業務を体験しました。研修を通じて、私が特に驚かされたのは、ビジネスにおける法律は必ずしも法令や判例通りの運用がなされていないということです。ビジネスにおいては相手方や顧客との継続的信頼関係が前提にありますから、杓子定規に法令や判例の基準を適用するのではなく、顧客との具体的な関係や取引の実情に即した対応が必要となるのです。このようにエクスターンシップでの経験を通じ、普段我々が学ぶ知識としての法学にとどまらず、交渉力や紛争解決能力等、実社会において法曹にどのような役割が求められているのかを窺い知ることができ、将来の法曹としてのキャリア形成を考える上で大変有意義な経験を得ることができました。