春田 壮史(東京学芸大学附属国際中等教育学校・2019年入学)
法律を使うことによって、人を助けられると思い、法律学科に入学しました。本学科では、憲法や民法、刑法といった基本的な法分野について学修したうえで、演習(ゼミナール)形式の授業でその分野を深く検討したり、新たな法分野での問題を扱ったりすることができます。
私は、刑法の演習に所属し、毎回、裁判所の判決を複数検討することによって、問題の本質的な部分を理解し、そこでの対立点を明確にしたうえで、その対立点を解消するための方法を議論しています。解決策は一つとは限らず、複数考えられることもありますし、どれも選んで正解ということも往々にしてあります。この「正解のない問題」に対して、最善の答えを導き出していくことについて、これ以上に面白いことはないと感じています。将来は、このような問題に日々携わる、裁判官や検察官、弁護士(法曹といわれる職業)を目指しています。
本学科では、法曹を目指す学生も多く、同じ志を持つ仲間と自主的に演習を組んで、裁判所の判決について検討しています。公務員や民間企業に就職する学生も多いため、彼らと日常的にコミュニケーションを取ることにより、同じ問題について別の観点からのアプローチを得ることができ、刺激的な毎日を送っています。
髙橋 理紗(雙葉高・2018年入学)
様々な分野でグローバル化が叫ばれる中、世界が一体となってめざす理想の世界を実現するため変容し続ける国際法に興味を持ち、国際関係法学科に入学しました。一括りに国際法といってもその内容は多岐にわたっており、本学科では総論・各論をはじめ、紛争解決、経済、国際取引など様々な視点から国際法を学ぶことができます。また、外国法(英米法、ドイツ法など)も選択できます。
学習の進め方として、基本的な国内法の知識を1・2年次で身に着けつつ、2年次から国際法の学習をはじめ、3年次以降は各個人の興味に合わせそれぞれの学びを深めていくことになります。学科同士の垣根が低く、国際関係法学科に所属していながら他学科の授業を取ることができるため、本学科から法曹を目指す人や、環境法のゼミに入る人もおり、自分の分野にとらわれず学びたいことみつけ、深めることができます。私自身も刑法のゼミで勉強する予定です。
本学科の学生は、それぞれ目指すものを持ちそのために留学するなど積極的に行動を起こしている人が多く、お互い刺激しあい成長できることが一つの魅力だと思います。また、意見を交換し合うことに前向きであり、その中で国際意識を高めつつ自分の思考の幅を広げることができるため、国際社会を法的視点から見たいと思う人には最適の環境です。
小谷野 有以(山手学院高・2019年入学)
深刻化する環境問題の現状や解決の方法について、法的観点から学びたいと考え、地球環境法学科に入学しました。
私たちの生活に不可欠な基盤である地球環境を守り維持するために、法律は非常に重要な存在です。悲惨な公害被害や規制違反の是正を背景に、法令の制定や改正、裁判例が蓄積され、今なお発展を続けているのが環境法の魅力の1つです。
本学科には、各分野の環境法の専門の先生が在籍されており、自分の興味に合わせて学びを深めることができます。1・2年次で学ぶ憲法や民法、行政法の基礎知識をもとに、廃棄物やリサイクル、自然保護、企業と環境などの身近な問題と環境法について勉強したり、損なわれた環境の回復や、被害者の救済の方法を過去の裁判例に学んだりと、多角的に環境問題に触れることができます。また、現役の弁護士の先生から、実務を踏まえたお話を聞くこともできます。気候変動や生物多様性の保全といった国際的な環境問題に関する法律や条約、EUやアメリカなどの外国の環境政策に関する講義も充実しています。
環境法は、事後対応ではなくより未然防止的に、現在だけではなく将来世代の利益を含めた広い視野から、環境の保護を目指しています。環境問題の内容が多様化し、影響が及ぶ地域や世代が拡大する中で、現代社会を生きる人として持つべき知見を得られる場所だと思っています。
秋山 俊大(2023年度入学)
我が国における安全保障の基本方針である国家安全保障戦略において「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面」と表現される現在の日本を取り巻く安全環境の中、我が国の平和と安定の確保のために法の秩序に基づく国際秩序の安定が求められています。
私は上智大学大学院(法学研究科)において防衛省航空自衛隊に所属しつつ、博士前期課程の学生として国際法の研究をしています。
特に国際法の中でも実務経験を背景に「条約解釈の視点を中心とした国際人道法(International Humanitarian Law)における軍事目標(Military Objectives)の定義及び付随的損害(Collateral Damage)の考え方」を研究の対象としており、今後更に厳しくなることが予想される国際秩序及び地域秩序の安定の一助になればとの気概を持って日々研究に取り組んでいます。
上智大学大学院では所属している学部・研究科に限定されず、様々な講義に参加することができます。私は国際関係論の講義も受講しており、多角的な視点から研究に取り組むきっかけにすることが出来ているともに私の研究テーマに合わせた専門的な知見からのアドバイスなど、受講している講義でも細やかな指導を頂いております。
まさに「学べば則ち固ならず。」を実感する毎日です。
社会人という立場で同じ研究室の仲間たちと研究に取り組めているのは大学院、職場など多くの方に支えられていることは言うまでもありません。感謝の気持ちを忘れず、微力ながら我が国の安全保障環境のあるべき姿を実現できるように研究に取り組んでいきたいと思います。
清水 美海(2022年度入学)
2020年に約120年間ほとんど改正がなされていなかった民法の一部を改正する法律が施行されました。今回の改正は、社会・経済の変化への対応を図るための見直しと、実務で通用している基本的なルールを適切に明文化することとしたものです。
しかし、その審議過程の中には合意形成が困難であったために、明文化が見送られた規定があります。
私は民法を専攻しており、公序良俗類型の中の1つである暴利行為について研究をしています。そしてこの暴利行為も明文化が見送られた規定の1つです。
超高齢化社会としての深刻度が加速度的に高まりつつある我が国において、判断力が低下した者が巻き込まれるトラブルへの対応体制の強化は急務となっています。私は合意形成が困難であった課題を見つめ直し、現代社会の中で最適な法制度とは何であるのかを日々検討しています。
大学院と聞くと、少々堅苦しく高度なイメージで萎縮してしまうかと思います。
しかし、上智大学大学院では定員が少ないため、どの講義においても先生方が私たち学生の研究内容・対象に応じて柔軟に対応してくださいます。また、指導教員である先生が定期的に進捗を確認したり、研究を進めるにあたって生じる不安や課題をサポートしてくださいます。
そのため、毎日の院生活が自分の研究に直結して活かされ、自分のしたかった研究と思い切り向き合うことができています。
原田 悠太郎(2022年度入学)
法律をはじめとして、現代の社会ではあらゆるルールが提示されます。しかし、そもそもそのルールが正しいかどうかはわかりません。これはなんらかの標語のような、法律以外のルールについても同様のことがいえます。
ルールを無条件に受け入れることが“常識的”であるとされることもしばしばあります。われわれはなんらかのルールを提示されるとつい、どうも無条件にそれを受け入れてしまうきらいがあるようです。
どんなに高尚なルールでも、無条件に押し付け・受け入れるだけでは、「単にルール違反をしなければ良い」という、形式的な、表面上の“お作法”にもなりかねません。そうなると、そのルールが目指した本来の目標はいつの間にか見失われてしまいます。ものごとの「そもそも」を探ってみることも、とても大切なことなのではないでしょうか。
私は、法哲学という分野を専攻しています。法哲学では「そもそも」を研究対象にすることができます。現在の具体的な私の研究テーマは「未来世代に対する現在世代の責任」です。一見、シンプルなテーマに見えますが、深掘りすると、実は未来世代への責任関係を支える決定的な理論を提示することがなかなか難しいということが見えてきます。しかしながら、この課題は、いまや人類共通のテーマと言っても過言ではないほどに注目されています。
指導教員の先生は、私の問題意識を踏まえてとことん議論に付き合って下さります。研究を通じて、この課題に対する私なりの意見を社会に提案することができるよう、より一層学びを深めていきたいと思います。
加藤 美月(2018年度入学)
私は現在、博士後期課程で国際私法を専攻しています。
私は、学部時代から国際私法、特に国際家族法に興味があり、より深く研究したいと思ったため、博士前期課程に進学しました。そこで、国際的な離婚における訴訟の競合(重複)というテーマに出会い、以後それを主たる研究課題としています。
国際私法では、諸外国の法制度を調査し、日本の法制度と比較対照することが、研究を進める上で非常に重要となってきます。したがって、法律の知識はもちろんのこと、語学力も欠かせないものとなります。
私は、欧州(ドイツ、フランス等)の法制度を主たる比較対象として研究を進めており、博士後期課程への進学後には、ドイツのミュンヘン大学で1年間の在外研究をする機会に恵まれました。そこでは、日本ではあまり研究の進んでいない論点、今まで知らなかった問題などを知ることができたのに加えて、実際にドイツの法制度が醸成されてきた環境を肌で感じることで、ドイツ法への理解をより一層深めることができました。この在外研究を通して、私は、日本の法制度を当たり前のものとして捉えるのではなく、諸外国の制度との関係の中で相対化して捉えることができるようになりました。
今後とも、この上智大学大学院の恵まれた学習環境に感謝しつつ、日本の国際私法の発展に少しでも貢献できるよう、研究に精進していきたいと思います。